女性が開発考案
自立支援型リハビリショーツ
「エナラック」に注目!
株式会社エナメディカル
取締役:早野真理さん、営業部福祉用具専門相談員:深澤まりあさん
相模原市にある株式会社エナメディカルは医療介護業界で注目されている会社です。
今回、同社で開発された自立支援型リハビリショーツ「エナラック」を取材して参りました。
「現場の声をもとに女性スタッフが中心となって開発したのがこのエナラックというショーツです」と話すのは担当の深澤さん。開発のきっかけは、リウマチや麻痺、手指の拘縮など、自分で下着の上げ下げができない女性患者の悩みを聞き、「デリケートな部分はいつまでも自分で行いたい」という女性の気持ちを大切にしたいという思いからだそう。
エナラックはショーツの両サイドに逆ポケットを使用し、手指の力が弱い方でも自分で上げ下げができる新発想のショーツです。でも、実際に製品化までには様々な困難もあったとのこと。
「女性用なので、デザインと素材にもかなりこだわってきました。明るく前向きな気持ちで疾患と共存できるようにという思いも込められているんです」
開発は肌着の専門家がいるわけでもなく、まさに手探りの状態からスタート。
看護師さんに話を伺ったり、実際に患者さんにも協力いただいて何度も試着を試みたり。試作品を形にするまでに約2年を費やしました。そして、実際に製作してくれる工場を見つけるにもさらに2年。
「予算が合わないとか、ロッド数が少ないとかでなかなか受けてくれる工場が見つからなかったんです」
現在、九州の工場にて製作。生地も化学繊維ではなく綿にこだわり、縫い目が表に出るような縫製、デザインにもこだわった機能的製品に仕上がっています。
現場で介護に接している同社女性スタッフが、まさに患者さんの悩みを聞き、それに応えたいという思いから生まれたのがこの自立支援型リハビリショーツ「エナラック」です。
エナラックは「神奈川なでしこブランド2016」にも認定されています。「神奈川なでしこブランド」とは、神奈川県内に拠点を持つ企業等において、女性が開発に貢献した商品(モノ・サービス)の中から、神奈川県が認定したものです。
その後、エナラック・アクアという防水パットを使用した吸水・速乾性の高いショーツも開発。
また、スカートを履くようにするりと着られる肌着「スルリエ」も開発しています。
「ショーツを作っている段階で、肌着も欲しいという声があったんです」と深澤さん。
こちらも着た時にシルエットがよく見える様、着た時にうれしくなるような、ただの介護用肌着ではないようにとこだわったのだそう。「乳がん手術で腕があげられない方にも使って頂けるんですよ」と。
開発後には怪我をされたスポーツ選手からの問い合わせ等、介護業界以外からの反響もあったとか。
現在は7分丈を開発中ですが、スルリエ以上に袖口を広げなくてはならないので試行錯誤の真っ最中だそう。
女性ならではの視点と心遣いが患者さんに希望を与えていることに深く感動する取材となりました。
取材担当:平戸一大
取材協力
株式会社エナメディカル